牛肉の高級度の度合いを測る尺度に=脂肪(サシ)交雑度合い=というのがあって、精肉された牛のロース芯の断面上で脂肪分がどの程度きめ細かく混ざっているか・・・といった物差しで、0から+5までの6段階に分かれ多いほど高級とされています。これは個人の好みの問題で、脂分の多いのが好きな人もいれば、胸焼けしそうでもう少し脂の少ない方が良いと言う好みの人もいる。
問題は日本の牛肉の等級判定基準では脂肪交雑度合いのウエイトが高過ぎていて、その牛の飼い方、生産履歴(飼育環境・給餌内容・水・薬剤の投与状況・病歴等)を明確にした上で、どれだけ健全な飼い方をし病気牛ではないこと、栄養学的な見地からもビタミンやミネラルが豊富で健康体であるかといった点などのトレサビリティを基本にした本当の意味での“質の評価判定”になっていないところにあると思います。そのような肉質等級基準や表示を改め、新しい真の品質基準で格付けされた等級段階ができるように根本的な改革をしなければなりません。そしてその具体的な品質内容と詳細なトレサビリティ(生産履歴)情報を販売の店頭にも表示し、お客さまが本当の質による比較購買が容易にでき選択できる環境を確立する必要があると思います。それを追求する生産基準(エコ・スタンダードとしても)とビジネスシステムの精度がいま問題で問われているのです。
鳥も野菜もミンチも米もお菓子も牛乳も。原材料から加工品まで何から何まで不安で信頼できない世の中・・・一流百貨店やスーパーで売っているものは大丈夫―?
お客さま(生活者)は真に安全で健康なものを探し求めています。“サシが多ければ良い”といったサシ信仰から脱却し、新しい時代が求める安全で健康な“質のスタンダード”“質のヒエラルキー”をつくらなければ将来に残れません。
◇現行の日本の肉牛 品質判定基準=判定には歩留まり等級と肉質等級で構成される。
①歩留まり等級(A~Cの3ランク、体の大きさより歩留まりが重視される。)
- 「枝肉歩留まり」=体重に対する枝肉(肉用牛から皮と内臓を取り除いたもの)の割合
- 「正肉歩留まり」=体重に対する正肉(枝肉からさらに骨と余分な脂肪を取り除いたもの)の割合
- 等級A=歩留まりが標準より良いもの
- 等級B=歩留まりが標準のもの
- 等級C=歩留まりが標準より劣るもの
②肉質等級(肉質判定審査は牛の6~7肋骨間の部分で実施する。)
等級 | 脂肪交雑 | 肉の色・光沢 | 肉のしまり・きめ | 脂肪の色沢と質 |
---|---|---|---|---|
5 | かなり多いもの | かなり良いもの | しまりはかなり良く きめもかなり細かい |
色・光沢・質とも かなり良いもの |
4 | やや多いもの | やや良いもの | やや良くやや細かい | やや良いもの |
3 | 標準のもの | 標準のもの | いずれも標準のもの | 標準のもの |
2 | やや少ないもの | 標準に準ずるもの | 標準に準ずるもの | 標準に準ずるもの |
1 | ほとんどないもの | 劣るもの | しまり劣りきめ粗い | 劣るもの |
*脂肪交雑はマーブリングチャートという10段階のスケールで評価。同じくミートカラースケールや脂肪カラースケールでそれぞれ判定審査を行う。