お客さま(消費者)にとってどんな肉がよい肉なのでしょうか!?過去の店頭アンケート、お客さまの声や様々な文献等から要約しますとおおよそ次の7つのポイントに集約されます。
- ① 自然の広々としたところでゆったりと健康的な飼い方をした健康な牛の肉。
- ② 農薬や成長促進、抗生物質、合成ビタミン等の薬剤を使用せず残留のない肉。
- ③ 天然・自然の野草、牧草をたくさん食べ育った牛の肉。
- ④ 健康によい栄養分、機能性成分がたっぷりあり、病気のない牛の肉。
- ⑤ 牛肉本来の味がし、柔らかすぎず固すぎず、サシも少なすぎず多すぎず。食後にもたれない肉。
- ⑥ 生産履歴が飼い方の内容レベルまで分かり、生産者の基準が明確な牛の肉。
- ⑦ いつでもリーズナブル(道理に適った)な方法・価格で購入できる肉。
といったところです。
それでは前述の日本の牛肉質判定基準・等級表と、お客さま(消費者)の求める質の基準内容と果して一致整合できていますでしょうか?ほとんど一致していません。逆にお客さまのお求めの反対のような飼い方をした方が、今の格付け審査では上等にランク付けされ高値になるー!?目も耳も疑うようなことになっています。牛が本来食べない高たんぱく、高カロリー、高脂質な穀類中心の配合飼料を食べさせ運動やビタミンAを制限し脂肪交雑(サシ)度合いを高めるメタボリック・シンドロームな牛・・・それが高い評価を与えられている日本の格付け審査・・・それで良いのでしょうか!?。
例えば野菜でも、安いが農薬や遺伝子操作具合の不明な中国野菜より、今は国産の有機栽培。それよりも無農薬野菜、更にそれよりも無農薬無肥料野菜を少し高くても買われる人が増えてきました。それだけ安全・健康を大切にしたい。本当に美味しい食べ物の味はどれー!?を大切にしたい人が増えています。しかし信頼して買っていた物の内容が実はイメージと違っていた・・・品質表示が本当に質を担保するような内容になっていなかったり、思い違いや紛らわしい表示になっていたり・・等の問題があります。
「有機野菜って無農薬ではなかったの?」・・・違います。有機JAS法では約20数種類の農薬・化学肥料の使用と60種類余の食品添加物の使用が認められています。であれば有機栽培でもこの野菜はこの農薬をこれだけ散布しました・・といった事を明確にできる生産管理体制とお客さまに説明しないといけませんね。また「有機肥料は良い」・・・いいえ。肥料の3大栄養素は窒素、リン酸、カリウムで特に窒素は成長促進に力を発揮する成分です。これを大量に投入すると野菜は早く大きくなり葉っぱが濃い緑色になります。その状態の野菜には硝酸態窒素というものがたくさん含まれていて、実はこの成分には発ガン性等があります。牧草づくりにも注意が必要で、化学肥料や有機堆肥といえども牛糞尿類を大量に用いて栽培した草類には多量の硝酸態窒素が含まれ、それを食べると牛の体内で亜硝酸態窒素に変わり血液に移行し、血液中のヘモグロビンがメトヘモグロビンとなりチョコレート色になる。酸素を運ぶ動脈血の酸素が奪われ、牛は窒息状態になり(人間と同じでメトヘモグロビン血症)死に至る場合もある。急性中毒症状を示さない場合でも流産体質になったり産後起立不能症になったりと影響を及ぼす。
そういうような理由で可能な限り有機と言えども肥料も抑え、農薬も仮に使用した場合は何をどれだけ何時使用したかを明確にすることが求められ、野菜、果物等農畜産物の“質”を語るための重要な基準の一つになっています。