草うしのおじちゃん/草うしプロジェクト運営会議委員 古屋輝行

16.「草うし」のおいしい食べ方

●ステーキ

肉は3cm程度の厚めにカット。サーロインは周囲の脂身部に3・4箇所包丁で切り身を入れ、(焼き上げた時の反り返り防止。フィレはそのまま。)両面に好みの量の塩をふります。塩にはこだわって海塩でも岩塩でも、自然塩でより旨みを際立たせて下さい。胡椒は後で、先ず塩だけでシンプルに素材の味・香りを楽しんで欲しいのです。

フライパンに草うしの脂身を溶かし、肉を中火で両面をさっと焼きます。更に弱火で三分の一に火が通ったら、裏面も同様に三分の一を焼き出来上がりです。(強火でパリパリ焼きはご法度です。)温めた皿に盛りまずは塩だけで。

フィレは驚くほど柔らかでジューシー、口中に肉の甘みと本来の香りが広がります。サーロインは強く肉本来の味がします。回りの脂身にもトライして下さい。芳ばしくしっかり食べていただけます。その後、お好みで胡椒でもガーリックバターでも。

肉好きの方には、リブロースの旨みを是非!ステーキでも、ベストは炭火でロースト。その他、ミスジ・イチボ・ランプ・シンタマ(マルシン)・ヒウチなど旨味・サシ度合の違いを楽しんで欲しい。

もう一つ肉好きな方に是非トライして欲しいのは、スネのステーキ。スネは堅いし・・・と今までは精々煮込みにする程度。スネの中でも柔らかい部位をステーキで。草うしのスネステーキはきっとやみつきになると思います。2.5 cm程度厚に輪切りにし、焼き方等は他と同様。部位の性格上、直径10cm程度で筋が混ざる場合もあります。その部分は切り分けて食べて下さい。コラーゲン質が他の3倍あり肉の味が最も濃く味わえる部位の一つです。(次項よもやま話参照

その他のスネやスジはカレーや煮込みに。牛肉の旨みがしっかり味わえます。

●赤身の旨いランプ肉のバジリコ焼き

脂肪が少なく旨みがたっぷりあるランプ肉(お尻に近い腰の部分、その他ウチモモでも)を叩き伸ばし1cm厚程度にし、適当のサイズに四角く切る(10cm程度)。成形後、繊維に直角に切れ目を厚さの半分まで5mmピッチに入れ両面に軽く塩、胡椒。そこに市販のバジリコソースを刷毛で塗り、溝のついたグリル板を熱しバジリコソース面から軽く焼く。焼き過ぎに注意。

●スネやスジ(筋)は煮込みの“オールラウンダー”スネ肉ブロックでポトフー

ステーキにならない硬いスネ(肩ロースやウデ、ネック)などの部位をブロックで野菜と共に水から煮込む。ジャガイモだけは煮崩れするので別に塩茹でし後で一緒に。人参、セロリ、白ねぎ、カブ、小玉ネギ、インゲン、ニンニク・・・材料と粒胡椒やブーケガルニ、月桂樹の葉を水から強火で。沸騰したら弱火にし3~4時間子コトコト煮込む。インゲンやニンニクは途中で加えホクホクに。火の通った順に野菜、肉を取り出し、煮汁に塩、胡椒と赤ワイン少々で味を調える。温かい野菜と適当の厚さに切った肉を深めの皿に盛り付け、たっぷりの煮汁スープを入れスープと一緒にいただきます。ディジョンマスタードも。

お馴染みカレーやビーフシチューに、ビーフストロガノフィにと。また甘辛く炊いておでんのネタやストックして、大根、カブなどと炊き合わせにも。

その他、「草うし」は赤身が美味しい牛ですので、内モモ、ランプなど赤身が旨い部位もステーキでシンプルに味わって下さい。(カルパッチョ、たたき、ローストももちろん最高に旨いです。)

●オリーブオイルでマリネする草うしのタリアータ

  • ① ブロック肉はウチモモ・シンタマなど適量用意し、塩・コショウ
  • ② ビニール袋に入れ潰したニンニク1片とExバージンオイル大さじ2を加え、冷蔵庫で数時間マリネする
  • ③ それを室温に戻し、フライパンにExバージンオイル大さじ1を入れ中火で全面に焼き色を付ける。
  • ④ 取り出しアルミホイルで二重に包み、20分程度おき、火通し。
  • ⑤ フライパンの肉汁にバルサミコ酢大さじ1とExバージンオイル1を加えソースを作る
  • ⑥ ブロック肉を取り出し好みの厚さにスライスし、ソースをかける。ベビーリーフを添え、おろし西洋わさびでどうぞ。

●内モモの簡単ローストビーフ

人数分で適当な内モモのブロックを中火で各面焼く。廻しながら薄く焦げ目が付き、厚さの1/3程度(好みで)火が通ればアルミホイルで三重巻きにし余熱で更にじっくり熱通しする。30分程で切り分け、塩胡椒や好みのソースで。

(本格的には各面を焦げ目が付く程度に焼き上げた後、90℃程度のオーブンでじっくり火を入れる。)

保存する場合は余熱が取れれば、冷蔵用の保存袋やケースで冷蔵し、食べる少し前に切り分け室温程度に戻し食する。

たたき風で直に召上がる時は、好みで先に軽めに塩胡椒をし焼き上がり次第好みのソースや更に足りなければ塩を足す。ブロック厚が大きい場合は焼いた後、アルミホイルに包み好みの熱通し加減で。

何れも、塩胡椒やポン酢系のタレ、オリーブオイルを垂らして、バジルソースでも美味しい。

付け合せ野菜は、矢張りクレソンが合う。(日本百名水の産山村池山水源から流れる清流に自生するクレソンが最高に旨いです。3月から芽生えますが香りも好くこれも名物にしたいと思っています。)

その他、部位の説明を読み、「ヒウチ」や「イチボ」などレアな専門的な部位に挑戦して肉の旨さを存分に味わって欲しいと思います。タレ漬けの焼肉やすき焼では本当の肉の旨さは分らないし、この「草うし」ではもったいない・・・「草うし」は味も栄養価も安全性も優れていますから、じっくりと肉そものを味わって下さい。

※(解凍する場合は、調理2・3日前から冷蔵庫内でゆっくり解凍する。一般肉よりもドリップがやや大目に出ますがそれも特徴です。また草うしの脂肪は、草をたっぷり食べているので薄いクリーム色です。一般慣行牛のような真っ白ではありません。草を食べ野山で運動している牛の特徴です。)