年間どれくらいの食肉牛がと畜され、どのくらいの牛がどんな病気なのか厚労省発表の検査情報を見てみましょう。
下表はH21年度の厚生労働省統計のと畜場検査による食肉牛と畜検査のデーター。全国のと畜場に運ばれた検査総頭数は1,175,991頭で病気のため全部または一部を廃棄された数は1,005,141頭でその疾病廃棄頭数率は85.5%にもなる=厚生労働省生活衛生局乳肉衛生課
●H21年度全国肉牛と畜検査 疾患別頭数表(厚生労働省 食肉検査等情報還元調査から)
全国と畜検査頭数 | 疾患廃棄頭数 | 同率 |
---|---|---|
1,175,991頭 | 1,005,141頭 | 85.5% |
禁止 | 全廃 | 一部廃棄 |
---|---|---|
44頭 | 9,793頭 | 995,304頭 |
主な疾病内訳(単位/頭)
- 細菌、原虫、寄生虫病
- 7,952
- 黄疸、腫瘍
- 2,318
- 膿毒、敗血、尿毒症
- 2,819
- 水腫
- 25,525
- 炎症又は炎症産物汚染
- 597,133
- 変性又は萎縮
- 192,330
- その他
- 177,045
→ 厚生労働省ホームページ
→ 健康な牛の条件・・・牛の餌と病気の原因
どんな家畜でも同じですが牛の成長と質には給餌内容と運動・衛生環境が特に大きく影響されます。給餌方法で大別すると二種類の飼育方法があります。牛の健康によく本来の食べものである牧草や野草を主体に食べさせる方法の粗飼料多給(グラスフェッド)飼育と、カロリー価の高い穀類主体で飼育する方法である濃厚飼料多給(グレンフェッド)飼育です。特徴は牧草、野草主体で飼う粗飼料多給(グラスフェッド)型の牛は無駄な脂肪分が少なくあっさりとして赤身が多く、成分分析的にもビタミン、ミネラル等機能性成分たっぷりで牛本来の味がする健康ヘルシーがポイント。一方濃厚飼料多給(グレンフェッド)型の牛はとうもろこし、麦類、大豆、魚粉、米糠などカロリー価の高いものが主体ですので、霜降り度合いの多い脂肪分たっぷりの肉質になります。(黒毛和牛を中心に霜降りの多い肉質に育てる場合はこの方法で、いま日本で流通している肉牛のほとんどがこの方法です。)
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