08-01. 草と飼い方で決まる
草うしスタンダードタイプが一生に食べる牧草・野草の量は(粗飼料:濃厚飼料の乾物摂取量比率35:65として)発酵半乾燥牧草=サイレージで3500㎏程で、仮に年間100頭の牛を継続的に放牧型粗飼料多給で育てると、その牧草類を自前の土地で賄うためには少なくとも100h以上の広大な牧草地を保有・管理しなければなりません。結局、土地の有無、手間や人手、経営効率等々の問題で、余程の条件が揃わないと出来ない構図になってしまいそのようなな理由で自然の中でのんびり牛を育てる・・といった風景が見られなくなってきました。
和牛と呼ばれ認定されているのは、黒毛和種、褐毛和種、無角和種、日本短角和種の4種類でそれぞれに特徴が違いますが、先ずはどの和牛でも(野菜と同じで)どんな環境でどんな飼い方をしたのか? どんな餌をどれだけ食べたのか? 水は? 薬剤の投与は? 病歴は?と言った点が重要で、その牛の品種特性と掛け合わせて明確に管理しその情報を開示・表示しなければならないでしょう。そして牛がのびのび広い原野で運動をし牧草をいっぱい食べ育つ、本来の育て方による健康な牛の生産を目指し“健康度”と“旨み”の二軸で格付け等級認定にする必要があると思います。
S51年(1976) | H1年(1989) | H14年(2002) | H17年(2005) | |
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黒毛和種 | 69.9万頭/84.4% | 61.4万頭/85.1% | 65.8万頭/94.9% | 161.3万頭9/7.3% |
褐毛和種 | 8.5/10.3 | 7.3/10.1 | 2.2/3.2 | 3.6/2.2% |
無角和種 | 0.3/0.4 | 0.06/0.1 | 0.01/0 | 0.02/0.01% |
短角和種 | 3.1/3.7 | 2.2/3.0 | 0.6/0.9 | 0.85/0.5% |
上田尻牧野組合 牧草採草地
私たちは、健康・安全でおいしい肉を探し求め、広大な阿蘇の北外輪山に位置する産山村にその環境を見つけ上田尻牧野組合の皆さんと“日本一の健康でおいしい牛を育てよう”を合言葉にH13年から取り組みを始めています。私たちの考え方の基本は、広い野山を歩き廻り、牧草・野草をお腹いっぱい食べさせ牛にストレスを感じさせない本来の育て方をしようと思っている点です。学術的にも牛に草を与えず育てる慣行的な飼育方法は病気と安全性の両面で問題が指摘されています。そこで取り組みの第一段階は牧草・野草(粗飼料)を全給餌量の35%以上食べ、放牧期間をできるだけ長く(3~7ヶ月以上)を生産の基本と設定いたしました。