草うしのおじちゃん/草うしプロジェクト運営会議委員 古屋輝行

12.「健康な草うし2タイプ」

「草うし」には放牧期間と草の給餌量の違いで2つのタイプがあります。通常、大丸松坂屋の店頭にてご提供している「草うし」は、“スタンダードタイプ”と呼んでいます。このスタンダードタイプでも充分に健康で美味しい内容ですが(別表グラフ参照)、さらに健康でより自然に近い究極の「草うしスーパープレミアムタイプ」の2種類を生産しています。


草うしスーパープレミアムタイプ放牧風景

スーパプレミアムの放牧のスタイルは「完全夏季2シーズン放牧の夏山冬里方式」です。夏季2シーズン放牧とは、このタイプの牛は生後28ヶ月齢まで飼いますので、3月生まれの牛を春~秋の牧草・野草をたっぷり食べられる期間を2回(2年に亘り)放牧経験させます。順応性の高い褐毛和牛ですが、阿蘇の自然は優しくもありますがとても厳しい面もあり、冬は平年-3~-8℃に下がりますし降雪もありますから、冬期間や天候不順時には自由に畜舎に緊急避難できるよう、放牧原野の真中に2500m2の新畜舎を建設いたしました。天候の良い日は自由に草原で太陽に当たり、草食みし、またこの畜舎で牧草サイレージも食べることができます。粗飼料(牧草・野草等)比率は50%以上(仕上げ時も濃厚飼料制限給餌で実質的には粗飼料比率は80%以上に)。この究極のスーパープレミアムAタイプ草うしは3月生まれが条件なので店頭には毎年8月下旬頃だけの限定販売です。是非この超レアな究極の健康で旨い「草うしスーパープレミアム」を一度味わっていただきたいと思います。これが本当の牛肉なんだ!・・・の感動が味わえます。しっかりと肉の旨みがあり、脂っこくなくきれが抜群です。

一般慣行的な牛と「草うし」の違いを分かりやすく比較できる表にしますと・・・

項目 一般慣行牛
(現在日本で行れている
大多数一般的な飼育方法の牛)
★草うし
スタンダードタイプ(標準)
★草うし
スーパープレミアムタイプ(A)
給餌内容
(飼料)
濃厚飼料多給
穀物主体配合90%
粗飼料はわら中心に10%
粗飼料多給
自給の良質牧草・野草を35%以上。
他は濃厚飼料(生草換算55%以上)
粗飼料多給 
舎飼い時自給の良質牧草・野草を50%以上
他は濃厚飼料。(生草換算80%以上)
放牧と
肥育環境
放牧基準なし
(ほとんどの場合放牧無、離乳以降も舎飼い)
多頭肥育で1頭当り面積基準なし
出荷月齢:慣行黒毛34月齢~前後
3~7ヶ月の親子放牧
(冬生まれも裏山放牧等で昼間放牧の放牧牛を調達する)親子放牧後は舎飼い、1頭当り面積6m2以上
出荷月齢:24~26月齢
2シーズン放牧型
夏山冬里型で16ヶ月以上の放牧。
仕上げはパドック付きの舎飼い
出荷月齢:28〜30月齢前後
薬物投与等 抗生物質、成長促進剤、人工繊維代替物、代用乳、人工乳、合成ビタミン等
任意使用
一切非投与
(病気には獣医師の指示に従う)。
同左
※濃厚飼料とは、カロリーの高い穀類を主体とした飼料 ※粗飼料とは、牧草や野草を主体とした牛本来の食べ物のこと


このように「草うしプロジェクト」で取り組んでいる“阿蘇の草うし”2タイプは、上記表でお分かりいただけますように一般的な肥育方法で草をほとんど食べさせないでサシを沢山差し込む黒毛和牛などと比べて、

①草を沢山食べている
②放牧やそれに順ずる方法で運動を沢山しています
③抗生物質、成長促進剤、代用乳・人工乳や人工繊維代替物などは使用しません。

とできる限り自然で健康的な飼い方をしています。